ニューヨークの多様性と寛容を守る市長 | ワシントン通信 3.0~地方公務員から転身した国際公務員のblog

ニューヨークの多様性と寛容を守る市長



 9/11の被災地であるニューヨークのグラウンド・ゼロのすぐ傍に、あるイスラム教団体がモスクとイスラム文化センターを建設するという計画があります。この計画を巡り、政治家や市民も巻き込んで最近アメリカ国内では大論争が巻き起こっているのです。反対派の意見は、「あのテロがイスラム過激派によって実行された以上、テロ犠牲者の遺族の心境を考えると、そんな近くにこういう施設は容認できない」というもの。

 この件については、僕が今回ニューヨークに滞在している間に、大きなニュースがありました。それは、ニューヨークのブルームバーグ市長が、「市としてはこの計画に反対しない」と正式に表明したのです(市長のそのスピーチは、こちら のサイトから)。そればかりか、「宗教の自由は合衆国憲法で保障されている」とし、多様性の維持と寛容の精神を抱くことの重要性を涙ながらに説いたというのです。正しい事を正しく貫こうというブルームバーグ市長のこういった姿勢こそ、リーダーシップと呼ぶに相応しいのではないでしょうか。

 市長はさらに、「テロの犠牲者の中には、イスラム教徒もいたことを忘れてはならない。イスラム教徒だってニューヨーカーなんだ」と述べたそうです。全く同感で、最大級の敬意を表したいと思います。憎悪と排除を続けていては、テロの火種はなくなりません。